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※一部修正しました。
こんばんは、元芸人ライターの鯛(@tai__writer)です。
先日、登山初心者の僕が1泊2日で北アルプス「燕岳(つばくろだけ)」に登頂してきました。
最初は正直、「行きたくない!山嫌い!」って思ってたけど、いざ行ってみたら「また行きたい!山大好き!」って気持ちになりました。(めっちゃ単純。)
ただ今回はガイドの方に案内してもらったのでトラブルなく登ることができましたが、今後ソロや友人グループで登る場合は、山の知識に乏しい者だけで様々な準備や対策を行わなければいけません。
特に、遭難対策は必須です。
今回は、遭難防止対策協議会(以下:遭対協)の隊員の方に、初心者が安全に登山を楽しむための注意点と遭難対策についてお伺いしました。
取材協力 | |
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小谷村山案内人組合会員 那谷(なや)さん |
那谷さんは遭対協の隊員として、実際に遭難防止や救助活動を行っています。
登山を安全に楽しむために是非参考にしてください。
遭対協隊員が教える登山の注意点と遭難対策
遭対協の隊員の方に伺った「遭難してしまう原因」や「遭難しないために必要な対策」をインタビュー形式で紹介します。
1.遭難してしまう原因
テレビやネットでよく遭難のニュースを目にしますが、何故遭難してしまうのでしょうか?
原因はケースによって違うので一概には言えませんが、やっぱり「事前の準備不足」が一番の原因だと思います。
どんなルートがあるのか、どこに危険箇所があるのか、天候はどう予想されているかを事前に把握せず、気軽に登ってしまうことで遭難してしまうケースが多いです。
なるほど。ちなみに、遭難で一番多いのはやっぱり道迷いですか?
遭難にも様々な種類がありますが、多いのは滑落と道迷いですね。
特に若い人は滑落事故が圧倒的に多いです。
何故若い人は滑落事故が多いのですか?
若い人は友人グループで登ることが多いのですが、危険箇所でも会話に夢中になったり、ふざけている姿をよく見掛けます。
そして、不注意のままコロッと落ちてしまうのです。
仲の良い友達と登るとついついはしゃいでしまいますからね…。
また、グループで行く場合、どうしても早い人・遅い人が出てしまいますが、早い人は「上で合流しよう」と言ってそのまま登ってしまう。
残された人は「急がないと」と焦ってしまい、コロッと滑落してそのまま遭難するケースもあります。
誰にも気付かれずに遭難…怖いですね…。
・遭難の一番の原因は「事前の準備不足」
・遭難の種類は滑落と道迷いが多い。
・若い人は、「危険箇所での不注意」と「メンバーとはぐれること」による滑落が多い。
2.山のプロに聞いた遭難対策
遭難対策で必要なことは、「徹底的なリサーチ」と「計画通りに進んでいるかの確認」です。
2-1.徹底的なリサーチが大切
遭難しないために必要なことは何ですか?
やっぱり「徹底的なリサーチ」が一番大切です。
どのルートで何時間で登れるのか、危険箇所はどこかなどを事前に徹底的にリサーチする、それが当たり前です。
準備を怠って、軽い気持ちで行くと、遭難する可能性が高いのですね。
友人同士で登る場合、遭難リスクを減らすコツはありますか?
友人同士で行くのは問題ありませんが、その場合はできるだけ山に詳しい人をリーダーに立てましょう。
そして、リーダーが中心となってペース配分や危険箇所の共有、悪天候時の判断を行いましょう。
「山は怖い」という意識を持って行動すれば、遭難のリスクを軽減できます。
もしも山に詳しい人がいない場合は、ガイドに依頼するのも一つの選択肢です。
先ほど「グループで登っても早い人・遅い人で分かれる」とおっしゃっていましたが、グループで登る場合はどのようにペース配分をすれば良いのですか?
ペース配分はメンバーにもよりますが、登山の理想のペースは、「息が上がることなく登り切れること」です。
そのため、一番遅い人が息切れせずに登り切れるペースで登りましょう。
時間が掛かるようであれば、到着時間から逆算して早い時間から登り始めましょう。
くれぐれも置いていかないようにしてください。
わかりました。では、ソロ登山の場合の対策はありますか?
以前、ソロ登山で遭難したという女性のブログを読んで、ソロ登山は怖いというイメージしかないのですが…。
ソロで行く場合は、なおさら徹底的な準備や対策が必要です。
自分の位置情報が分かる物(GPS専用機や地図・コンパスなど)を持参して、バッテリー切れなどのリスクを考慮した対策を行う。
そして、ある程度は自力で戻って来れる位じゃないとソロに行くのは早い気がします。
僕もその記事を読みましたが、楽しいからという理由だけで山に登って、遭難して、救助要請をして、救助してくれた人に文句を言うなんてありえないと思いますが…。
確かに…。
2-2.計画通りに進んでいるかの確認
もう一つ大切なことは、計画通りに進んでいるかを把握することです。
リサーチを徹底しても、計画通りに行動できていなければ遭難の可能性が高まります。
計画通りに進んでいるかを確認するために、自分の位置情報を正確に把握できるようにしましょう。
自分の位置情報を把握するためには紙の地図とコンパスがあれば大丈夫ですか?
確かに地図とコンパスはあった方が良いですが、読めなかったら何の意味もないんでね。
特に、初心者の方が遭難して焦っている状況で、自分の今いる位置を正確に把握できるかと言われたら難しい。
今はスマホのアプリで大まかな位置なら分かるのでそれでも良いんじゃないかなと思います。
では初心者はアプリの方が向いているということですね。
ただし、スマホアプリのGPS機能は精度が低いので、大まかな位置情報しか分かりません。
個人的におすすめしたいのはGPS専用機です。
GPS専用機なら高精度で緯度・経度が分かるので、計画通りに進んでいるかを把握するのに非常に役立つと思います。
かなり便利なんですね。
ちなみに、GPS専用機は故障のリスクを考えて2個持っていった方が良いでしょうか?
1個で十分だと思いますが(苦笑)
出発前に正常に動くか確認しておきましょう。
ただし、電池切れの可能性を考慮し、予備バッテリーは持って行った方が良いでしょう。
なるほど。
ちなみにスマホのモバイルバッテリーは持って行った方が良いですか?
山で充電って出来ますか?
もちろん、持って行った方が良いです。
どれだけ探しても山の中にコンセントはないので(笑)
・遭難しないためにはとにかく「徹底的なリサーチ」と「計画通りに進んでいるかの確認」が大切。
・グループで行く場合は山に詳しい人をリーダーに立てる。
・山に詳しい人がいない場合はガイドに依頼するのも選択肢の一つ。
・登山の理想のペースは「息切れせずに登り切れること」
・ソロで行く場合は、位置情報が分かる物を持参し、ある程度スキルが身に付いてから行く。
・紙の地図とコンパスはあった方が良いが、初心者にはスマホの位置情報アプリがおすすめ。
・GPS専用機があれば高精度で緯度・経度を把握できるので、ヘリで救助してもらいやすい。
3.生存率を上げるための3つの方法
事前にしっかり準備をしたにもかかわらず遭難してしまった場合はどうすれば良いですか?
正直にいうと、遭難した場合は生きて帰って来るよりも助からない可能性も十分あります。
厳しいんですね…。
遭難したらサバイバルなので、「何としても生き残る!」という強い精神が大切です。
最近も、年配の女性が道迷いで遭難したというケースがありましたが、キノコを食べたり川の水を飲んだりして1週間生き残って助かっています。
すごいサバイバル力。
3-1.自分の居場所がどこか分からなくなったらどうすれば良いか?
自分の居場所がどこか分からない場合はかなり厳しいですか?
そうですね…電話が通じるなら警察に救助要請すれば良いですが…。
電話も通じず場所も分からない…となるとどうしようもないですか?
うーん、そうですね…。
これはあくまでも聞いた話ですが、「まず沢をひたすら詰める。そして滝などでこれ以上進めない!となったら今度は尾に上がって尾を詰める。そして崖などでこれ以上無理!となったらまた沢を詰める…これを繰り返すことで出れる」と聞いたことがあります。
確かに元々の地形をある程度知っていれば行けるんじゃないかなぁという気はしますが、経験したことがないので何とも言えません。
※詰めるとは、進めなくなるまでずっと進んでいくという意味です。
迷った場合に、現在地とその周辺の地理的状況を把握できるような装備が無ければ、非常に厳しいということですね。
正直に言うとかなり厳しい状況ですが、迷った場合は来た道を戻っていけるように目印を付けていきましょう。
僕の場合は、木の枝や薮を折ったりして目印を付けています。
一番大切なことは計画通りに進んでいくことなので、間違った道に進んでいることを早めに気付くことが大切です。
3-2.暗くなったらどうすれば良いか?
日が落ちたらかなり温度も下がって真っ暗になりますよね?
その場合はどうすれば良いですか?
暗くなったらむやみに動かない方が良いです。
そのために、昼間の日が出ている間に一晩過ごせるスペースを絶対に見つけておきましょう。
冬の場合は組み立てスコップがあれば便利です。
雪に穴を掘って寝るスペースを作り、ツェルトで穴を塞げばかなり快適に一晩過ごすことができます。
3-3.寒さ対策に絶対必要な物は?ツェルト?
「ツェルトの有無が生死を分ける」と聞いたことがありますが、ツェルトは必須アイテムですか?
ツェルトは絶対にあった方が良いですね。
ツェルトとは、緊急時の非常用の簡易テントのことです。
ツェルトは風を通さないので、寒さをしのぐことができます。
また、風が強い時に包まれば、自分の体温が大幅に下がるのを防げます。
寒さ対策は必須ですもんね。
はい、山の頂上はとても寒いですよ。
今回行った燕岳の場合、標高0mと頂上(標高2,763m)の温度差は16度以上あります。
そんなに違うんですか!
じゃあ夜になったり雨が降ったり、冬の時期だとさらに寒く感じますね。
はい、風が吹くとさらに寒く感じますよ。
そういった寒い状況なので、低体温症を防げるかどうかが生死の分かれ目の一つのポイントとなります。
体が冷えて温度がどんどん下がっていくと、体の先端から仮死状態になっていきます。
「極寒の山で一晩過ごしたら軽度の低体温症になっていて、起きようと思っても体が動かなかった」という遭難者の話を聞いたことがあります。
怖い…。
低体温症を防ぐために持っている物を全部着込んだりしますが、それでもやっぱり寒いです。
そんな時にツェルトに包まれば、風を通さないので体温の低下を防ぐことができます。
ツェルトは小さくて持ち運びが楽な物も多いので、是非持っておいてください。
・遭難したらサバイバル。「何としてでも生き残る」という強い精神が大切。
・迷った場合に、現在地とその周辺の地理的状況を把握できるような装備が無ければ非常に厳しい。
・来た道を戻っていけるように目印を付けておく。
・暗くなったら動かない。日が出ている間に寝泊まりするスペースをある程度決めておく。
・ツェルトがあれば厳しい寒さをしのぐことができる。コンパクトな物も多いので1つは持っておいた方が良い。
4.救助体制について
救助体制や登山計画書について教えてください。
4-1.登山計画書は必要?
登山計画書の提出って必要なんですか?
※登山計画書は、登山届、入山届とも呼びます。
必要です。
登山計画書を提出していれば、万が一遭難した時に、救助のために捜索する範囲を狭めることができます。
登山計画書は、誰が、いつ、どこの登山口から、どこに向かったのかが分かる貴重な資料です。
提出していなければ、ご家族の方から「帰ってこないんですけど…」って連絡が来ても、対象となる範囲を絞れずに的確な捜索ができません。
ちなみに、長野県の指定登山道を通行する場合は、登山計画書の提出が条例で義務付けられています。
どの辺に行くということが書いてあれば大体想像がつきます。
すごい、分かるんですね。
同じエリアを何十年も歩き回っているのである程度は想像できます(笑)
遭難した時に発見される確率を上げるために、登山計画書は必ず提出してください。
4-2.ソロ登山で遭難した場合の連絡はどうなるの?
ソロ登山で遭難して自分で連絡ができない場合、どのように連絡が来るんですか?
グループの場合は他のメンバーがすぐに連絡してくれるけど、ソロで遭難した場合は連絡がかなり遅れますね…。
ご家族や会社の同僚から連絡が来ることが多いですが、連絡が来るのは早くても遭難してから2,3日後ですね。
後は「駐車場にずっと車が停まったままですが…」という形で連絡が入ることもあります。
どちらにせよ連絡がかなり遅れるので厳しい状況にはなります。
4-3.救助体制はどんな感じ?
救助体制について詳しく教えてください。
救助の流れはどんな感じですか?
まずは警察に救助要請が入ります。
そして警察だけでは対応できない場合、遭対協に連絡が入ります。
そこから遭対協は隊員に指示を出して、実際に救助へ向かうという流れになります。
例えば「男性が山の上から救助要請、悪天候だからヘリを飛ばせない」というケースの場合、警察から3,4人、遭対協から5,6人の隊員が行きます。
かなり大がかりですね…。
ヘリが飛ばせない場合は担いで下りないといけないですからね。
一回80kgの男性を山の頂上から担いで降りたことがありますが、あれはしんどかった…。
大変そう…。
でもこれはまだ少ない方ですよ。
雪山を搜索するとなると、山岳警備隊や遭対協だけでなく、消防団や機動隊なども来て、合わせて5,60人で一斉捜査することもあります。
遭難したらかなり大勢の人を巻き込むことになるのですね。
4-4.ヘリ救助について
救助や搜索にヘリを使う場合があります。
ただし、遭難救助にヘリを使う場合は「標高3,000mで山に近付いて救助する」など、特殊な技術が必要です。
そのため、山岳遭難の救助ができるヘリは長野県と富山県、岐阜県と、山岳県の中でも一部にしかありません。
また、技術があったとしても、救助ヘリが墜落するケースもあります。
このように、救助には大きなリスクが伴っているのです。
「ヘリがあったら楽に降りれるのに…」と冗談で言うこともありますが、救助する側にも大きなリスクがあるのですね。
ヘリを呼ぶとなると費用もかなりかかるんですか?
もちろん、ヘリを一台動かすのには何百万と費用がかかります。
県が所有するヘリの場合は税金が使用され、民間ヘリの場合は自費となります。
ちなみに、ヘリだけでなく、消防団や地元山岳会といった民間の方に捜索を協力して頂いた分も自費負担です。
恐ろしい…そんな額払えない…。
ただ、山岳保険に加入していれば保険が適応されるので、救助前には必ず「山岳保険に加入していますか?」と聞くようにしています。
山に行く場合は山岳保険への加入をおすすめします。
どちらにせよ、1回の救助でかなりの費用が使われるんですね…。
自分でしっかりリスク対策をすることが大切だと痛感しました。
山に登る場合は、事前リサーチやリスク対策を徹底して、安全に楽しんで頂きたいです。
・登山計画書は遭難範囲を狭めるために出す必要がある。
・ソロ登山で遭難した場合、連絡が遅くなる場合が多い。
・救助には人員・費用がかかり、非常に大きなリスクを伴う。そのことを踏まえて、リスク対策を行う必要がある。
まとめ
今回は、ガイドの那谷さんに遭難について詳しく説明していただきました。
遭難のリスクを軽減するためには「徹底的なリサーチ」が大切です。
登山は一般的な趣味として広がり、気軽に楽しく登る方も増えていますが、リスクも含んでいます。
山を安全に楽しく楽しむためにしっかりリスク対策をしていきましょう。
そして仮眠をしっかりとりましょう!
1.遭難の原因の一つは事前の準備不足。
2.遭難しないためには「徹底的なリサーチ」と「計画通りに進んでいるかの確認」が大切。
3.生存率を上げる3つの方法
3-1.迷った場合は来た道を戻っていけるように目印を付けておく。
3-2.暗くなったら動かない。日が出ている間に寝泊まりするスペースをある程度決めておく。
3-3.ツェルトがあれば厳しい寒さをしのぐことができる。コンパクトな物も多いので1つは持っておいた方が良い。
4.救助について
4-1.登山計画書は遭難範囲を狭めるために出す必要がある。
4-2.救助要請すると人員・費用がかかり、非常に大きなリスクを伴う。そのことを踏まえて、リスク対策を行う必要がある。
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この記事を書いた人 | |
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鯛 24歳、元芸人のライター 腐っても鯛です |